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  • オープンリサーチプログラム[連続レクチャー]
  • 眞島竜男
  • 2014.11.19
  • 水曜日
  • 17:00–19:00
  • 場所:京都府京都文化博物館 別館ホール

オープンリサーチプログラムとは:

アーティスティックディレクターとキュレトリアルチームが、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015に向けて行う調査研究のプロセスを広く一般に公開し共有するためのプログラムです。

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  • オープンリサーチプログラム[連続レクチャー]
  • 眞島竜男
  • 2014.11.19
  • 水曜日
  • 17:00–19:00
  • 場所:京都府京都文化博物館 別館ホール

「全体タイトルは思案中」第3回「『ぶんてんてい
てんかいそていてんしんぶんてんにってーん(仮)』、
『北京日記』、『鵠沼相撲・京都ボクシング』、『日本近代美術/楽しき国土』:眞島竜男の作品について(の2時間のプレゼンテーション)」

開場してまもなく、前方に設置された幅3×高さ2メートルはありそうな巨大なスクリーンのさらに上、京都文化博物館・別館ホールの2階でうねうねだらだら踊っている小さな人影が見える。音楽も鳴っていない会場でゆれるその拙い踊りは、ただただ動き続けているだけのような印象も受ける。予定していた開始時刻の17になってスポットライトがあたり、いよいよ注目の的になるが、相変わらず。その後5分ほどにわたり、今回のプレゼンテーションの登壇者、眞島竜男の起伏のない踊りに付き合わされる。会場にはすこし戸惑ったような、静かな空気が漂う。二、三度、笑い声が小さく響く。
PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015の参加予定作家である眞島竜男の全4回にわたるオープンリサーチプログラムの3回目。この日の「2時間のプレゼンテーション」は、眞島が2012年から行っている作品、《今日の踊り》を皮切りに、タイトルに並ぶ自身の作品をプレゼンテーションする内容からスタートされた。今回の大きなテーマは自身のプレゼンテーションなのだ。
そもそも、この連続オープンリサーチプログラムは眞島本人の「考えるプロセスの一環を見せる」ことを趣旨としている。第1回は「美術」。第2回には「美術館」。今回は「眞島竜男」、そして最後に「京都」と続き、それぞれのテーマに対して文字に起こすと5万字にも及ぶであろう急ぎ足な話が2時間続けられる。このハードなプレゼンテーションをよく聞いていると、開いて閉じて、あるいは結んで開いて、テーマに対して何度も何度も反復しながら意味や文脈の再考を行う、眞島自身の頭の中を、私たちに分かる言語で1字も漏らさず実況してくれているようにも聞こえる。起承転結というような分かりやすい流れではなく、全体のテーマを「全体のタイトルは思案中」としているように、基本的に決まったゴールに向かって淡々と話すのではなく、会場内で情報を共有した上で、模索をしているようなその早口に、辺境の知を感じる。
最後には、「PARASOPHIA」にて出品される作品の構想についても話された。眞島竜男の活動を90年代から振り返り、入念なプレゼンテーションで自身の思考プロセスを会場内で共有することにとり、次の作品の景色を私たちにもぼんやり見せてくれた、とも言える。日本の近代美術史について、長年のリサーチをもって独自の文脈に位置づける眞島の2時間のプレゼンテーションは、いよいよ3時間近くまで長引いてしまった。いくつかの観客は眠そうな顔をしているけれど、早口はまだ続いている。眞島竜男の頭の中は、ふかくてひろい。

【文・浅見旬】


アーカイブ動画公開予定:www.youtube.com/user/parasophiaVideos

第4回は2015年1月17日(土)に「重なった土/飛び出した土:京都、PARASOPHIA、岸田劉生、満洲について(の2時間のダイアグラム)」として開催する予定です。なお、この連続レクチャーの企画には浅見旬氏にご協力いただきました。


オープンリサーチプログラム10[連続レクチャー]眞島竜男「全体タイトルは思案中」第3回「『ぶんてんていてんかいそていてんしんぶんてんにってーん(仮)』、『北京日記』、『鵠沼相撲・京都ボクシング』、『日本近代美術/楽しき国土』:眞島竜男の作品について(の2時間のプレゼンテーション)」
日時:2014年11月19日(水)17:00–19:00
会場:京都府京都文化博物館 別館ホール
主催:京都国際現代芸術祭組織委員会、一般社団法人京都経済同友会、京都府、京都市
協力:TARO NASU

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オープンリサーチプログラム[連続レクチャー]眞島竜男「全体タイトルは思案中」
第1回「開いて閉じる、閉じて開く、開いて折りたたむ、折りたたんで開く:日本の近現代美術について(の2時間のレクチャー)」2014年7月19日(土)
第2回「その公共性は誰のものなのか?:美術館、国際展、現代美術、アートについて(の2時間のレクチャー)」2014年9月21日(日)
第3回「『ぶんてんていてんかいそていてんしんぶんてんにってーん(仮)』、『北京日記』、『鵠沼相撲・京都ボクシング』、『日本近代美術/楽しき国土』:眞島竜男の作品について(の2時間のプレゼンテーション)」2014年11月19日(水)
第4回「重なった土/飛び出した土:京都、PARASOPHIA、岸田劉生、満洲について(の2時間のダイアグラム)」2015年1月17日(土)


オープンリサーチプログラムとは
アーティスティックディレクターとキュレトリアルチームが、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015に向けて行う調査研究のプロセスを広く一般に公開し共有するためのプログラムです。

眞島竜男●1970年東京生まれ、神奈川県川崎と大分県別府を拠点に活動。「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」参加作家。詳細:眞島竜男

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